城と館ー室野源太左衛門城館調査録ー

中世山城や古建築など、巡り歩いた情報を発信します。当面の間、過去の訪問先の情報が主になりますが、近い年月日の情報も随時発表していきます。

根城:岩手県宮古市根城

岩手県宮古市の、閉伊川の南岸(右岸)にある山城。閉伊地方中世史研究の先駆者、田村忠博氏(故人)は、平安末期から続く閉伊氏が、南北朝期に築いた山城として、著作『古城物語ー宮古地方の中世史ー』で紹介しています。 根城(北東側:閉伊川の堤防から)…

高松の池

盛岡市の高松一丁目にある、高松の池は、市民の行楽地です。桜の名所100選にもなっている公園ですが、去年と今年は、桜は開花しましたが、桜まつりは中止されました。残念でした。 高松の池中堤 江戸時代の初め、盛岡南部氏により、盛岡城下建設が行われまし…

大館ー中世滴石の詰城かー

■ 大館の位置 岩手県岩手郡雫石町山津田にある大形の山城。館の主は不明ですが、位置と規模からみて、雫石城(滴石城)と関係する山城と推定されます。 大館(南西から) 大館(南東から) 大館(東から) 北側(右側)の山から尾根が伸び、先端が高くなった…

怪しい光—東京都青梅市御嶽山ー

写真には、時に、意外なものが写りこむことがあります。 2012年の12月15日、東京都青梅市の御嶽山に参拝しました。この日、山は曇り空で、木々の葉もだいぶ落ちていましたが、多くの参拝客でにぎわっていました。御岳山は標高929mの山で、山頂の御嶽神社に…

玉山館ー河村氏系玉山氏の居城ー

積雪期の玉山館(西から) 右側が主郭の大館、左側は小館、大館と小館の間は大きな堀切 盛岡市玉山城内にある中世城館で、室町時代から戦国末期まで、この地域の村落領主、河村氏系の玉山氏の居城でした。現在は大半が農地で、夏場でも遺構が見やすい城です…

小屋崎館

盛岡市玉山の北部、寺林を北上し、岩手町川口駅の手前、国道4号線が大きくS字カーブしながら、鉄道を越える所(鉄道ファンが列車の写真を撮っていることがある)から、正面左手に小屋崎館(こやさきだて)が見える。この館(たて)は、北上川右岸に接し、…

大釜館と八幡館

岩手県滝沢市の大釜にある城館。JR田沢湖線・秋田新幹線の大釜駅(※新幹線はとまりません)から徒歩15分ほどのところに東林寺という寺があり、その周囲が大釜館跡です。戦国時代末期には、和賀氏の支族大釜氏が居住していました。 東方から大釜と八幡館山…

蝶ヶ森館(経ヶ森:盛岡市門真立)

5月2日の廻館考で述べた、 盛岡市門(かど)の真立(まだて)にある蝶ヶ森館(ちょうがもりだて)。 江戸時代の文献や、大日本地名辞書(吉田東伍1906)には、経ヶ森と記されており、蝶ヶ森と呼ばれるようになったのは、さほど古いことではないらしい。山頂…

廻館考

私のフィールドに、時折、マタテ・マワッタチ・マッタヅなどの地名がある。漢字にすれば、真館・間館・廻館・真立などと標記される。多くの場合、その場所か近傍に、山城が存在する。 盛岡市門(カド)と東安庭との境にある蝶ケ森(経ケ森)には、空堀が二重…

藤沢狄森古墳群(ふじさわえぞもりこふんぐん)

岩手県紫波郡矢巾町藤沢にある狄森古墳群です。近くを通りかかり、20年ぶりぐらいで立ち寄りました。この古墳1基は岩手県指定史跡になっており、保存されています。この周辺地域の発掘調査(矢巾町教育委員会による)においては、地上の墳丘を失った古墳の…

堀越城ー津軽為信居城ー

4月2日、大光寺城見学の後、弘前市の堀越城に立ち寄りました。 (図と空中写真は現地の説明板のもの) 堀越城平面図(現地の説明板) 三の丸土塁から本丸を見る 本丸の堀 クランク状になっています 本丸門の跡 手前は櫓の跡 本丸門と櫓復元図 本丸門復元図 …

大光寺古館・大光寺新城2

前回(4月22日)の追加です。 大光寺新城の説明版 主曲輪 主曲輪東側の土塁痕跡? この東側は、低い土地になっています。

大光寺古館・大光寺新城

この春、青森県平川市三滝本の大光寺古館を見に行きました。同市三村井の大光寺新城は有名で、13世紀から17世紀初めにかけての城跡ですが、市街化著しく、城が存在した小高い地形から、どうにか輪郭をたどれる現状です。北曲輪、主曲輪(本丸)、南曲輪など…

重要文化財土田家住宅を見学しました

先日、以前から行ってみたかった、秋田県由利本荘市矢島町の重要文化財土田家住宅を見学してきました。 国土地理院ウェブサイトによる空中写真(上下とも)(1976年の写真) 写真上方の東西に長い森は土田家祖先の居城根縫館跡。写真下部(南)の水田中に4か…

花卷城の円城寺門

花卷城三ノ丸跡の鳥谷崎神社境内に移築されている円城寺門です。花卷城で唯一残る建築遺構で、城の櫓門としては岩手県内唯一の門です。旧和賀氏本城二子城(北上市)の大手門を、慶長年間に南部利直が移したと伝えられていますが、当時の部材がどの程度残さ…

通天館(安倍館)

通天館の遠望(手前は胆沢川) 胆沢郡金ケ崎町永栄の曹洞宗永徳寺西方の山中にあります。 永徳寺 白衣観世音堂 永徳寺裏山の東端にあり、この西方に山道(樵驢径)をたどると通天館の東側虎口に至ります。 西側空堀 空堀と土塁で囲まれた単郭の山城で、樵驢…

栗谷川城(厨川柵・嫗戸柵擬定地)

1 栗谷川城(安倍館遺跡) 栗谷川城は、岩手県盛岡市安倍館町(あべだてちょう)・上堂(かみどう)一丁目に所在する城館跡で、北上川西岸の比高22mの台地上にあります。西側は木賊川(とくさがわ)の低地になって、北の上堂から南の館坂に向かって長く張…

三戸城跡発掘調査現地見学会

2018年10月13日(土) 木々が色づきはじめ、好天にめぐまれた本日。青森県三戸郡三戸町の三戸城跡(さんのへじょうあと)で、三戸町教育員会の発掘調査現地見学会が開かれました。三戸城は馬淵川と熊原川合流点の城山に築かれた、戦国時代三戸南部氏の山城で…

繋遺跡の縄文土器が見れる 盛岡市遺跡の学び館第16回企画展を見てきました

本日10月最初の土曜日、盛岡市本宮にある遺跡の学び館で繋遺跡の展示があるというので、見に行きました。なんでも遺跡から出た縄文土器が国重要文化財に指定されて30周年記念の展示だそうで、今日が初日でした。なかなか見応えがあります。 展示室入り口 人…

大仙市 十六沢城跡

本日、秋田県に所用があったので、用務のあと、20数年ぶりに十六沢城に向かいました。この城はあまり大きな山城ではありませんが、山頂部分の遺構が良く残っており、北西側の中腹部に構えられた畝状縦堀が特徴的です。 十六沢城の遠景(西から) 手前の尾根…

上閉伊郡山田町 小田の御所

山田町の船越にある、中世北畠氏一族が居住したと伝わる山城です。田の浜漁港の南側、海に突き出した山の上にあります。 田の浜漁港から見た小田御所 登り道は大きな堀切に至ります。 大きな堀切り 主郭から見た大きな堀切 尾根の堀切 主郭下の堀切 宝篋印塔…

仙北市築地古館の太田城跡

仙北市太田の築地古館にある太田城跡。戸沢35城の一つで、元和の初めごろ破却されました。扇状地に営まれた平城で、堀や土塁の一部が残っています。 曲輪の北東隅近くの土塁と堀 大規模ではありませんが、見応えのある土塁です。 説明板

秋田県美郷町 六郷城

菅江真澄も訪れた六郷城の跡、神社は本丸跡の北東部にあります。 本丸北側の堀跡

熊の足跡(北上市上鬼柳)

【撮影日2018年1月19日】 北上市の上鬼柳宿というところに鹿島館という城館跡があります。この館跡を調査に行った折りに、熊の足跡を見つけました。 最初は何の足跡なのか分かりませんでしたが、よく見ると爪があり、形から熊の足跡だとわかりました。黒い手…

遠野市 横田城(護摩堂城)

遠野市松崎町光興寺の護摩堂山に、鎌倉時代の建保年間(1213~1219)に築かれたとされる阿曽沼氏の居城跡です。天正年間(1573~1592)に鍋倉山に城を移すまで、ここが遠野盆地の拠点城館でした。現在でも城の地形はよく残されています。 中央の山麓の山にあ…

青森市 高屋敷館遺跡

青森県青森市浪岡の高屋敷館遺跡です。国道浪岡バイパス建設のため発掘調査されましたが、平安時代後期の防御性集落跡であることが判明し、その重要性からバイパスは迂回することになって保存されました。国指定史跡になっております。まだ整備途中のようで…

旧山形城門 千歳山萬松寺山門

山形市の萬松寺に山形城から移した門があるというので、昨年見学に行きました。千歳山の麓に古代から存在した言われる由緒のある寺院で、最上義光が山形城を修築の際、寺領60石とともにこの門を寄進したのだそうです。伝承では山形城の南大手門とされていま…

秋田県湯沢市 稲庭城

横手市に所用があり、その午後に稲庭城にいきました。小雨が降っていたのであまり歩けなかったのが残念です。 城の遠望 模擬天守が見えます 城の全体模型 模擬天守があるのは左側の細長い曲輪で二の丸と云われている。三条の堀切を隔て、少し離れてもう一条…

釜石市片岸町 安倍館 

大震災翌年の2月、岩手県釜石市片岸町と上閉伊郡(かみへいぐん)大槌町との境にある安倍館(高舘)に登りました。場所は釜石市鵜住居川の北、片岸町や古廟坂トンネルの西側、標高333mの山頂です。安倍館と呼ばれる山の頂に、城館の遺構が実際に存在するのか…

国見峠から貝吹岳

今から7年ほど前の夏、主治医の奨めもあり、リハビリを兼ねて国見峠を歩きました。国見峠は岩手県と秋田県の境にあり、現在は国道46号線の仙岩トンネルが貝吹岳の中腹を通じています。峠の北東側、国見温泉に車を駐車して、沢を渡り、国見峠に向かいまし…