小屋崎館
盛岡市玉山の北部、寺林を北上し、岩手町川口駅の手前、国道4号線が大きくS字カーブしながら、鉄道を越える所(鉄道ファンが列車の写真を撮っていることがある)から、正面左手に小屋崎館(こやさきだて)が見える。この館(たて)は、北上川右岸に接し、北に向かって突き出した丘陵の先端にある。冬場であれば、写真のような二重堀切がよく見える。
この館は、東側の崖上が尾根の頂部にあたり、西側に数段のテラスが造成されていて、先の堀切から伸びた空堀が、このテラスを囲む。単郭の城館である。各平場には竪穴建物とみられる窪みが分布している。玉山から岩手町にかけて、こうした北向きの城館が多い。城館の構造はオーソドックスで、戦国期でも比較的古い段階と思われる。岩手郡と、北の糠部(ぬかのぶ)と、激しい対立があったことがうかがえる。