城と館ー室野源太左衛門城館調査録ー

中世山城や古建築など、巡り歩いた情報を発信します。当面の間、過去の訪問先の情報が主になりますが、近い年月日の情報も随時発表していきます。

岩手県九戸郡九戸村 江刺家館(えさしかだて)

 

折爪岳の東麓にある九戸村は、古くから馬産地で、九戸牧があったところです。室町時代から戦国時代には、九戸氏の本拠地がありました。東北自動車道八戸道の九戸ICのすぐ近くに江刺家館があります。九戸氏配下の領主江刺家氏の居城跡で、南東側の段丘縁辺には、より古い城館の古舘があります。天正19年(1591)九戸城に籠城した武士に江刺家一煕斎が見え、江刺家館の主と考えられています。九戸氏とは縁戚関係にあったと推定されます。

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江刺家館・古舘遠望

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          位置図 (国土地理院地図に加筆)

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昭和23年の江刺家館付近(国土地理院webサイトより)
右下に古館が見える

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江刺家館   
                         調査・作図:室野秀文

この城館は二重から三重の堀と土塁に守られた本丸と、外側の外曲輪からなっております。南東側と北西側に厳重な虎口が設けられていて、南東側は外枡形状。北西側は、二重堀の土塁上に堡塁を設けて、横矢を掛け、通路を曲折させています。大手口は東側と考えられますが、中腹に住宅があり、幾分、改変されていると思われます。

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本丸南西側土塁

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本丸内部

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南東側虎口

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南側空堀

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南東側虎口下の縦堀

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西側空堀

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北西側土塁と堡塁