城と館ー室野源太左衛門城館調査録ー

中世山城や古建築など、巡り歩いた情報を発信します。当面の間、過去の訪問先の情報が主になりますが、近い年月日の情報も随時発表していきます。

秋田県横手市雄物川 沼舘城

横手市雄物川の沼舘にある平城で、戦国期の小野寺氏の居城の一つである。段丘崖上の自然堤防を活用して構築されている。平安時代11世紀の清原氏が立て籠った沼柵もこの付近と推定されている。

 

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沼舘城位置図

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雄物川の氾濫原から見た沼舘城

 

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本丸跡の蔵光院山門

 

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 巨大で堅牢な土塁が本丸を守ります。

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 土塁上はこのとおり、外側道路は堀を埋めたところで、比高差がすごい。

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本丸内部からみた土塁

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沼舘城縄張図                     調査・作図:室野秀文

この城は、本丸・二ノ丸を段丘崖縁辺に置いて、三ノ丸と古宿の曲輪を悌郭式に配置した平城である。本丸北東側には槐門があり、現在の蔵光院山門が本丸虎口と推定され、槐門から本丸虎口までは、枡形状の虎口空間が存在したと推定される。二ノ丸は現在中学校となっているが、この北端には地籍図から内枡形の大手門が推定される。本丸は城主居館。二ノ丸は重臣屋敷と役所施設。三ノ丸は中規模の土地区画が並列することから、中級の諸士屋敷群。古宿は街道の両側に短冊形地割が連続することから、町屋域と考えられる。城域東側の街道を、城内の総構えの中に引き込んだものだろう。北東隅の八幡宮の土塁は、北東隅が鬼門除けで欠ける。


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土塁の手前草地は堀の跡