すあま棒
昔、こどものころ、信州で食べた餅菓子の「すあま」は、紅白の2種類で売られていて、
地域の人々に好まれたお菓子だった。
当時、私はこのお菓子が大好きで、知人や親せきの人が「すあま」を手土産に家に来ると、本当にうれしかったものだ。
その「すあま」は、果物のイチジクを平たく伸ばしたような形で、やわらかく、しつこくない上品な甘さが、何とも言えずおいしい、庶民の味だった。
あれから半世紀ほど経過したが、信州には今もあるのだろうか・・・・?
先日、たまたま買い物で立ち寄ったスーパーマーケットで、「すあま棒」を見つけた。
こどものころ食べたすあまとは形が異なり、棒状の形で芯が白く、外側がピンク色になっている。
なつかしくなって、家族の分を買って帰宅し、
お茶請けに食べてみた。
昔なつかしい、やはらかな食感と、上品な甘味が口の中に拡がった。
家族の評判もすこぶる良かった。
パッケージを見ると、岩手県南部の一関市花泉の「すがわら」というお店で作っているものだった。
一関市や磐井地方は、餅が食文化である。
現在でも美味しい餅料理が数多く伝承されていることを思うと、
このすあま棒はいかにも、県南の一関らしい餅菓子だと思った。
昔ながらの御菓子には、ほんとうによいものがあり、
それを、今でもたべられる幸せを感じた日だった。