山猫の山ある記

中世山城や古建築など、巡り歩いた情報を発信します。当面の間、過去の訪問先の情報が主になりますが、近い年月日の情報も随時発表していきます。

重要文化財土田家住宅を見学しました

先日、以前から行ってみたかった、秋田県由利本荘市矢島町の重要文化財土田家住宅を見学してきました。

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国土地理院ウェブサイトによる空中写真(上下とも)(1976年の写真)

写真上方の東西に長い森は土田家祖先の居城根縫館跡。写真下部(南)の水田中に4か所集落がありますが、左から2つ目の半月形の集落が中世城館相庭舘跡。この相庭舘跡の西端に土田家住宅があります。

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相庭館跡周囲の堀跡が、水田の区画になって巡っています。現在は圃場整備で水田の様子が異なりますが、周囲の用水堰はこの写真のままです。

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土田家住宅南側を流れる用水堰。左側一段高くなっているところが相庭館跡で、用水堰はかつての堀跡を流れているようです。

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南東側から見た土田家住宅。緑の生垣で囲まれています。

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土田家住宅入口

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向かって左側(西側)に中門が突き出しています。江戸時代には3間ほど出ていたらしいのですが、詳細が不明なため1間の張り出しに留めているそうです。

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正面は土間に入る玄関部分。

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中門内部。チョウナ仕上げの柱が見えます。

 

土田家の祖先は、江戸時代より前の中世には、このあたりの村の領主であったそうです。現在の建物は、17世紀後半に土田家当主が建築したものと伝承され、建物の解体修理の結果、建築様式も推定年代と一致しているそうです。秋田県では、羽後町の鈴木家住宅とともに、最古の民家だそうです。中門を座敷側に設けている例は、この土田家の特徴で、もしかしたら古い時代には、武家が賓客を迎える式台のような造りだったのでしょうか?現存する中門造りのほとんどは、土間側に中門が設けられて、馬屋を伴うのですが、このような構造をとっているのは、土田家が中世領主の系譜を引いているためなのでしょうか。内部にはチョウナ仕上げの柱が多く残り、建物全体に豪族居館の主殿のような雰囲気がうかがえます。機会をみて、また見学したいと思いました。

 

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重要文化財土田家住宅の平面図

(財団法人文化財建造物保存技術協会1985年12月『重要文化財土田家住宅修理工事報告書』)による